青嵐中でのHUG実施(振り返りシートから読み取れること)

1. 問1、問2を読む限り、全員がゲームをちゃんと実施したことがわかる。

多様な状況に置かれている人たちの配置に悩んだこと、他チームを見て自分たちと違う判断に驚いたり、そういう考え方もあると感心したりしているのが分かる。

 

2. 今回は、時間の関係もあり、一つのチームが別の一チームを見るだけにしたので、問2の感想が見たチームに偏っている。感想から類推できる特徴的な判断を以下に挙げておく。

(ア) プールの水が無くなったので、トイレに流す水が無くなった時の対応として、一般的には、穴を掘る、下水道を使うがあげられるが、①砂場を使う、②雨水をためて使うという対応があった。

(イ) 絵を描いているチームがあった(トイレの場所、「避難所にようこそ」など)

(ウ) ペットへの対応で、大人に実施すると、可哀そうだが外に置く、コンクリートのベランダのようなところに置くという対応が一般的だが、①ペットと飼い主の部屋を作る、②ペットだけの教室を作る、③外にペット小屋を作る、④もともと学校にある鳥小屋やうさぎ小屋を使うという対応が見られた。   

(エ) 病気や怪我、認知症などで部屋を分けることが多いが、地区で分けると知り合いが多くなり、安心できると思ったとの対応があった。

(オ) これまで大人に実施して一度も出てこなかったが、今回は、一部損壊の人などは家に帰すという対応があった。

(カ) 男女別の対応をしているチームとそうでないチームがあった(着替えの場所やトイレなど)

(キ) おにぎりを避難所で配るのではなく、欲しいと言ってきた人に全部あげてしまったチームがあった。

(ク) 家族が行方不明の人たちを同じスペースにいれ、悲しさを分かち合えるようにしたという対応があった。

(ケ) 精神状態が不安定な人のために、体育館の中にテントを張って、そこに居て落ち着かせるという対応があった。

(コ) 1人の人は一人でさみしい思いをするより、同じような人が居る方が雑談など出来て良いと、まとめるという対応があった。

(サ) 親を二人失った子供に、けがなどをしていない大人をつけて、面倒をみてもらうという対応があった。

(シ) 体育館の中にフリースペースを作るという対応をしているチームがあった。

(ス) A4の白紙の紙で、「保健室」を作っているチームがあった。

(セ) 車を校庭ではなく、教職員の駐車場に置いているという対応があった。

 

3. 問3のこれからやってみようと思ったことのなかで、いつ地震が起きてもよいように、食料や水を用意する、家族で避難のルールを話し合う、避難に必要な物資をリュックに入れて用意しておくなど、「避難訓練」などで聞いたことがあるのか、こうした記述も多かった。このほか、特徴的な記述には、以下のようなものがあった。

(ア) 避難所では、(今回の設定では)食料が不足していた、食料を持ってきた人が居なかったことから、「食料を自宅で用意しておき、避難所にもってくればずいぶん助かるのに」という記述がいくつもあった。実際に、避難所に誰かが食料を持ってきたとして、他人に分け与えるものだろうか・・・と考えないところが中学生らしい純粋さなのだろうと思えた。また、青嵐中も避難所に指定されているので、食料の備蓄があるのだと思うが、生徒はそれを知らないのかもしれない。

(イ) 「小さな子供たちには、丁寧に話してあげること」「障害者に親切にすること」「病気の人を優先する」「妊娠している人がいたら助産師を探す」「不自由な人を優先する」「みんなが住みやすい場所を考える」「助け合いのできる優しい心を身に着けたい」「親と離れている子供とかは、安心させる様な何かを用意する!」「困っている人たちがいたら助けようと思いました」「常に、誰のことを一番に考えるべきかを考える」「一人ひとりのことを理解し、その人にあった分け方をする」「他の人への気遣いをしっかりと考えて行動したいと思った」といった優しい配慮を意識する人が多かった。

(ウ) 来た人々にできそうな仕事をあらかじめきめておけばよかった、仕事の分担を最初に決めて動いてもらう・・・など協力体制を述べた人もいた。

(エ) 「自分から行動する」「自分にできることがあればお手伝いする」「さまざまな人の意見を聞いて、みんなが納得する結果になるようにする」「自分のことは自分で出来るようにする。そして、周りの人も助けられそうなら助ける」「ニュースなどで避難所を見るとき、自分ならどうするかを考えてみる」と、自分も社会に役立つことができると主体的に考えるようになった記述もあった。

(オ) このほか、落ち着いて行動する、臨機応変に対応する、的確に判断する、冷静に判断できるようにしたい、すばやく判断するという記述も多かった。本当にできればよいのですが・・。

(カ) このほか、「できないことでも、何かで代用できる」「なにか、どうしたらいいか分からない問題があったら、できるだけ逃げないで解決する!」「どんな状態でも、落ち着いて全体を見ておくことが大事だと思ったので、これからやってみようと思った」「工夫して考える!!そして実行する!!ということ」という頼もしい記述もあった。

(キ) 雨水を使うことを知り、「雨水がバケツにどのくらいの時間で一杯たまるのか、そして効率の用意集め方を災害時のために考えておきたい」という面白い意見もあった。

(ク) 「自助」が強く言われているが、一人だけ、家で対策ができることはして、できるだけ避難所に頼らないようにしたいという意見があった。

 

4. 以上のように、今回の青嵐中2年生へのHUGは、中学生にいろいろな気づきをもたらし、中学生らしい発想も見られ、大変興味深い内容となった。できれば、この新鮮な気持ちが彼ら彼女らの日常に根付いてもらいたいと思います。